沖縄でヤギを飼う理由と、ヤギの品種
こんにちは。石垣島ナビです。
石垣島や周辺に離島では、車で郊外を走っていると、「白いヤギ」をよく見ます。
道路沿いの歩道にいたり、小屋から脱走して道路を走っているヤギも、ちらほら。
なぜ、そんなにヤギが多いのか?
今回は、「ヤギを飼う理由と、ヤギの品種」について紹介します。
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目次
ヤギを飼う理由
というのも、沖縄の島々ではヤギを家で飼う習慣があります。ヤギは手のかからない動物なので、飼うのが楽。逃げないように紐で繋いでおきますが、基本、放置。
1週間ほど放置プレイをしても元気に生きている。ヤギは「飼うのが簡単」「病気になりにくい」「タフ」な動物なんです。
大昔の話ですが、天候不良や凶作になると食べ物が全く手に入らなくなってしまいます。そんな時でもヤギを飼っていれば、最悪ヤギを食べて食いつなぐことができる。昔は非常事態に備えて買われていたという理由もあります。
食べるものがない時に食べるヤギは、まさに天の恵みだったでしょうね。
飛行機や船で簡単に食料を運べるようになる時代になると、「非常事態の備え」だったヤギ汁から、お祝いをするための「ご馳走」へと変化していきました。
昔、「ヤギ汁」を囲んで涙を流しながら喜んで食べた体験を、自分の子供たちに伝え、その子供たちがまた子供たちに伝えを繰り返し、代々受け継がれているのでしょう。「ヤギはご馳走」っていうのはそういう歴史が根付いているから。
草刈り要員として大活躍のヤギ
そんなヤギですが、最近では別の理由で飼われるようになりました。その理由は「草刈り要員」としての役割です。
ヤギは足元に生えている雑草を食べます。食事は草。木の葉も好きなので、あげると喜んで食べますが、ヒモで繋がレているので、紐が届く範囲のものしか食べることができません。なので、ヒモの長さや繋ぐ場所を工夫すると足元の草しか食べるものが無くなる。
そうすると足元の草から食べて、無くなると「食べるものなくなったから、場所変えて〜」と鳴いて知らせてくれる。そうやって人間の代わりに草刈りをしてくれる役割で飼っている人も増えています。
目的はやっぱり「食べる」ため
草刈り要員としての需要があるヤギなんですが、天寿を全うするまで「草刈り要員」として飼われるヤギは、ほんの一部です。草を食べすすめていくと、1年後には丸々と太ってくる。
そんな頃合いにやっぱり、食べられちゃうんです。島のおじいさんが言うには「1歳半が食べごろだぞ。シメる時は知らせろよ」とのこと。離島では、ご馳走で食べていた習慣があるので、島のおじいさんクラスになると「ヤギをシメる(捌く)」のも朝飯前なんです。
手際よく捌いていきます。さっきまで生きていたヤギがお肉になる。生き物の命をいただくってこう言うことなんだなとシミジミ感じます。
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お祝いの席で食べられるヤギ汁
沖縄ではヤギを食べます。本州では動物園ふれあい広場なんかによくいるヤギを食べる習慣がある。
沖縄でヤギは「ご馳走」です。お祝いの席に、よく食べられます。沖縄の田舎へ行くと、お祭りごとや、合格、出産、卒業など節目節目のお祝いは家族はもちろん、ご近所さんも呼んでみんなでお祝いする。そんな昔ながらの習慣が残っている場所もあります。お祝い事があるとお祝いに来てくれた人に振る舞う料理が「ヤギ汁」なんです。
地域によっては、牛汁だったり、イノシシ汁だったりもしますが、ヤギが多い。昔から身近にいたヤギは薬膳としての効果が高い食材としても有名です。喘息や冷え性の治療食としても食べられていた歴史もあります。
ヤギ汁で食べられるのが一般的ですが「ヤギそば」「刺身」なで食べられることもあった食材です。
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ヤギの品種
沖縄にもともといたヤギは「黒い色のヤギ」が多かったそうです。もともと、インド周辺で食べられていたヤギ。ヤギを食べる文化は、インド、東南アジアを通じて沖縄に伝わってきたと言われています。
痩せた土地でも、生命力の強いヤギはタフに生きることができる。自分も飼ったことがあるので、分かるんですが、ほぼ雑草を食べるだけで生きていける動物です。水もほとんど飲まず、逆に雨などは怖がる特徴があります。
クワの葉やハイビスカスの葉など、樹木の葉っぱの方を好きなようですが、草でも大丈夫。手間がかからない生き物なので、飼いやすい動物です。
白いヤギは長野から来たヤギ
今、石垣島で見かけるヤギは「白いヤギ」が多いです。もともとは「黒いヤギ」が多かったのに、最近はほぼ「白いヤギ」しか見かけないです。これは「黒ヤギ」が「白ヤギ」になったわけではなく、「黒い」ヤギと「白い」ヤギは、別の種類のヤギなんです。
黒色、褐色のヤギは「ベゾァー型」の属することが多いヤギ。白いヤギは「ザーネン種」といい、種類が違うヤギ。
ザーネン種は、大型で短期肥育に向いている種類のヤギです。1926年に長野県から輸入した「日本ザーネン種」をもとに沖縄のヤギと交配させ、品種改良を行ないました。
改良前までの沖縄のヤギは小型で、体重も15kg程度の大きさでしたが、交配を繰り返すことによって40kg〜50kg程度の大きさまで育つようになりました。
その品種が今に引き継がれているので、沖縄には「白いヤギ」が多くなりました。もともといた「黒いヤギ」はほとんど見なくなりました。今ではトカラ山羊と呼ばれ、波照間島や、奄美諸島、トカラ諸島、屋久島には、数が少ないですが生息しています。
ほとんどが、生育が良いザーネン種にとって変わられた沖縄のヤギ。近年100年ぐらいで、ガラッと様変わりしてしまいました。
運動会の景品が「ヤギ」
自分が以前住んでいた西表島では、中学校の運動会の景品として「ヤギ」が出てきたこともあります。総合優勝の1等が「黒ヤギ」、2等が「白ヤギ」でした。
島のおじいさんの間では、「黒ヤギの方が美味しい」と言われているので、1等が黒ヤギでした。大きさは白ヤギより小さかったですが、15kg以上はあったので、ザーネン種と交配した初期の血統のヤギだったのかもしれません。
離島では、今でも、ヤギは生活の一部になっている動物です。
そんな風に、見ると違いが楽しいヤギ。旅行中に見かけたら、愛でてあげてください。
ちなみに、角のついた雄ヤギは、結構、気性が荒いヤツが多いので、不用意に近づくのはやめておいたほうがいいです。本気で角で突かれます。かなり痛いので、気をつけて!
柵の外から距離をとって眺めてください!
それじゃあ、楽しく旅してね!
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