沖縄の食文化「沖縄の食事はまずいって、本当?」
こんにちは。石垣島ナビです。
旅行に来た人から「沖縄の食事は、まずい」「どこか、美味しいお店、知らない?」ってことをよく耳にします。「なぜ、まずいって感じるのか?」それには沖縄の食文化が関係しているんです。
今回は、沖縄の食文化「沖縄の食事はまずいって、本当?」を紹介します。
スポンサーリンク
目次
沖縄の食文化
沖縄は地理上、亜熱帯性気候と呼ばれる地域です。年の半分以上は湿度、気温が高く、台風の通り道。作物を育てても台風で飛ばされてしまい、不作になることも多かった場所です。
沖縄本島に比べ、石垣島のような離島ではさらに、人頭税という税金が課せられ、米や粟を食べることなどできなかった歴史もあります。そのような時代には「さつまいも」を食べて生活していた歴史もあり、「美食」の食文化よりも、「生きるため」の食文化が中心でした。
「さつまいも」中心だった食生活
古来から、石垣島には、毎年、台風がきて大風、大雨を降らせていくので、作物を作るのが難しい環境でした。土地も痩せた土地が多く、人々はより肥沃な土地を探して村を移動させていたことが「御嶽の歴史」からも読み解くことができます。
人々がより、作物の作りやすい土地、より、生活用水の手に入りやすい土地を探して島内を開拓していった歴史。人々の移動とともに、村の神様を呼ぶための「御嶽」と一緒に、移動した歴史が言い伝えとして語り継がれています。
関連記事>>>石垣島の御嶽(うたき)一覧、御嶽の歴史
当時は、地中にできる作物「さつまいも」が主食でした。さつまいもは、地中に実をつけるので、台風の影響を受けにくい作物。大量生産も可能で、保存も可能。いいところだらけの作物です。現在でも、八重山農高横には、さつまいもを離島に伝えた功績を称える、さつまいも伝来の「頌徳碑(こうとくひ)」が建てられています。
関連記事>>>【記念碑シリーズ】石垣島に「頌徳碑(こうとくひ)」が多い理由
それだけ、さつまいもは、当時の人々にとって、ありがたい作物でした。
石垣島のスーパーには、さつまいも食の名残なのか、一年中「焼き芋」のブースがあります。暑い夏でも食べれる焼き芋。お年寄りの中には「イモは食べたくない」って話してくれる人も多いですが、現代の若者にとっては、嬉しいサービスです。
豚によって変わった食生活
さつまいもを作っていた時代に中国から伝来した豚。沖縄本島では、さつまいもを作るときにでる茎を食べさせたり、生活で出る野菜の切れ端を食べさせたりして育てる豚食文化が浸透していきます。
それでも、豚は高級品でお正月などの年に数回しか食べることができなかったご馳走です。豚を年中食べるために豚肉を保存する技術(塩漬けなど)が沖縄料理の根底として発展していった歴史があります。
関連記事>>>沖縄と豚の文化
石垣島では、豚ではなく、イノシシを獲って食べる文化が浸透していきます。戦後は牛を育てるようになるので、牛肉を食べる文化も生まれます。牛を育てる前までは「肉食」というと、山にいるイノシシを獲って食べるのが一般的でした。
家畜といえばヤギ。お祝いの席で食べるのはヤギがご馳走の役割を担っていました。近年は食文化も多様性、西洋化が進んでいるので、あまり食べられることが少なくなったヤギですが、石垣島にはヤギ専門店もあり、ヤギを育てる牧場も存在します。
関連記事>>>石垣島で食べれるヤギ料理
肉食文化も徐々に発展していきますが、庶民の間では、肉はまだご馳走。さつまいもを中心として、魚でタンパク質と脂質を補うという食文化が、まだまだ主流な時代でした。
共食の文化
豚が伝来された頃から、人々の生活に根ざした「御嶽」でのお祭り、神事の際に「みんなでご馳走を分けて食べる」という「共食」の文化が発展していきました。
日頃、肉を食べれないような家庭の人も、この日ばかりは、「村人全員で美味しいものを食べて祝おう!」「食べれることを神様に感謝しよう!」という習慣が出来始めてきます。
現在でも、沖縄の離島に行くと「豊年祭」「節祭」などの神事で「イノシシ汁」や「ヤギ汁」「牛汁」を大鍋で煮て食べる習慣が残っています。神事だけでなく、還暦のお祝いや、公民館の新築祝いなども、みんなで祝えるように、各公民館には業務用の回転釜を設置しているところも多いです。
夏になると、海辺でバーベキューや鉄板焼き、豚の丸焼きを食べたりする習慣も「共食」の延長と言われています。沖縄の人は、みんなで一緒に食事をするのが特に好きな人たちです。フランクなグループだと、歩いている観光客にも「どこから来たの?一緒に肉食べない?」なんて、声をかけちゃうほど。
一緒に同じ食事をすることによって、濃密な人間関係、絆を作り上げてきた歴史を感じます。
スポンサーリンク
1950年の食生活
石垣島では、1950年ごろの食生活は「イモ」「雑穀」「魚介類」が中心の食生活でした。戦後すぐは、米などほとんど食べることができず、小麦粉、イモ、魚介類が中心の生活。当時に発展した食べ物といえば「パン」や「かまぼこ」などの小麦粉、魚介類を加工した食品です。
ぐしけんパンの「なかよしパン」は、栄養が多く摂れなかった時代に、子供達に安くカロリーをたくさん摂れる食事を摂ってほしい。みんなで仲良く分けあえるような食事をしてほしい。という意味で作られているのも、そのような社会背景を感じます。
関連記事>>>ゼブラパンより高カロリーなパン見っけ「ぐしけんパン<なかよしパン|ハーフ>」
石垣島では、マーミヤかまぼこさんをはじめとした、かまぼこ屋さんが「ちょっとでも美味しく魚を食べてもらいたい」って思いで<かまぼこ>を作るようになりました。
関連記事>>>マーミヤかまぼこは石垣島<王道の味>のかまぼこ
どちらも「栄養のあるもの」を「お腹いっぱい」「美味しく」食べてほしい!って思いが詰まった商品たちです。そんな思いが詰まっているから、現在でも、人気の商品として食べられ続けているのかもしれません。
米が食べられる食生活
1960年代になってやっと、米が一般的に食べられるようになってきます。1960年代には燃料革命も起こり、薪を中心とした生活から石油・ガスにとって代わられる時代でした。
石垣島でも、折れたマングローブを薪として使っていた時代もあると伝え聞いています。プロパン会社の社長さんは、「あの頃は、大八車を引いていた時代だったな。大八車を引いているおじさんが、汗びっしょりで大変そうだなって思ったさぁ」なんて話をしてくれるような時代だったようです。
薪からガスに変わり、給湯器は石油。だんだんと近代化が進んでいく時代です。
食生活の外食化
ハンバーガーやライスカレーが登場したのもこの時代。沖縄で有名な「A&W(エンダー)」が沖縄に出店したのも1963年。アメリカ文化の影響で、ハンバーガー、ステーキなどの食生活に変化していきます。
食生活のインスタント化が進み、昔摂るのが難しかった「タンパク質」や「脂肪」を簡単に食べることができる食生活に変化していきます。
関連記事>>>【A&W:エンダー】沖縄ファーストフードの王さま
沖縄の人々は、さつまいもが主食だった時代があったので、「味の濃いもの」「脂肪の多いもの」を好む傾向があります。栄養を簡単に摂ることができるようになったのはいいことなんですが、食生活の変化による食べ過ぎ、栄養の摂りすぎなどの問題も出てくるのも、この時代からです。
そんな中、沖縄そばや豚肉料理に代表される「沖縄料理」の重要性も見直されていくことになります。
関連記事>>>沖縄料理の「豚肉を使った料理」の名前
沖縄の食文化は発展途上
沖縄では、経済的な発展が進んでいきますが、全国的に見ると、世帯収入などは低い水準です。収入が低いと食事にかけるお金も少なくなるので、美食やグルメなどの文化も進まないことは、歴史上知られている事実です。
娯楽費や、食費が使われるようになるのは、生命の危機が薄まった時。そういう意味では、沖縄の経済水準からすると、本州の1980年代と同じぐらいの水準ということができます。
沖縄でも、観光業、サービス業が順調に発展してきているので、それに伴い、世帯収入が増えていくと、より美食化が進んでいくことは間違いないでしょう。
本州からの移住者も増え、有名なレストランのシェフは舌の肥えた本州出身のシェフ。というお店も多いです。
本州で美味しいものを食べている人にとっては、沖縄の食は「美味しくない」「まずい」と感じるかもしれませんが、これから発展していく文化だから、そう感じるんです。
懐かしい味、本州では失われてしまった味があるのが沖縄。
沖縄は、歴史上、異国の文化を上手に取り入れてきて独自の文化を作ってきた歴史があります。食文化も伝統を重んじながら、新しい味も取り入れ発展させてく。そんな未来がくるのも近いです。
沖縄独自の食文化
沖縄の食文化も本州並みの水準になると、高級化が進んでいくでしょう。2030年ぐらいに本州の2000年代の水準になっていくんじゃないでしょうか。
よくアメリカで起きたことが周回遅れで、日本で起こると言われていますが、それと同じ。アメリカで20年前に起きたことが20年後の日本で起きる。日本で20年前に起きていたことが、20年後の沖縄で起きる。
そういった周回遅れのレースを見ているような感覚になります。
これから、飽食の時代を迎える沖縄ですが、沖縄らしい特徴は失って欲しくないと感じます。豚食文化を中心とした「沖縄料理」の調理法も、「ぬちぐすい」と言われる天然の薬膳を使ったデトックス料理などが、その筆頭。
食生活が豊か、快楽化するのは避けられませんが、同時に「健康」を考えた古来からの伝統的な食生活を失わないように、沖縄独自の食文化を作り出していく必要性もあります。
「沖縄といえばコレ!」っていうオリジナリティ、アイデンティティを食文化でも確立してほしいものです。
それじゃあ、楽しく旅してね!
スポンサーリンク