「赤瓦」の特徴と歴史
こんにちは。石垣島ナビです。
沖縄の伝統的建築様式といえば「赤瓦」屋根のお家を思い浮かべると思います。「赤瓦の屋根」と一口に言っても、家によってかなりの違いがあることをご存知ですか?
今回は「赤瓦」について紹介します。
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赤瓦
歴史のあるお家は違う
歴史のあるお家は同じ「赤瓦」でも作りが違います。基本的な作りは木造建築の骨組みに板、茅などをのせ、その上に赤瓦、漆喰(しっくい)で塗り固めていく作りとなっています。
もともとは、大和瓦(やまとがわら)といって、本州で使われているような灰色な瓦が使われていましたが、18世紀に入って、地元の赤土を使った「赤瓦」が作られるようになってきました。
八重山の古い土器「下田原土器」などを見てみても、灰色をしているので、もともとは灰色土を使って作っていたことがわかります。
赤土を使い始めたのは、比較的新しい時代からのようです。
八重山蔵元(役場)の瓦を焼くために作られた瓦窯で有名な「名蔵窯」は1695年に作られたものです。
17世紀後半〜18世紀にかけて赤瓦が誕生したと考えられます。
それまでは、窯ではなく「野焼き」という焚き火の中で焼くような方法で土器などが作られていたので、瓦、赤瓦は新しい技術が生んだ作品だといえます。
琉球王朝時代は、高貴な身分、位の高い人のお屋敷にしか使ってはいけないという厳格な決まりがありました。
現存する赤瓦のお屋敷「宮良殿内」も、「宮良地区の長が住むには豪華すぎるんじゃね?」という理由で、再三の取り壊し命令が出ていたぐらいです。宮良の長は、これに反発したので取り壊されずに残っていますが、命令に従っていたら現在の「宮良殿内」は存在しなかったことになります。
宮良殿内も一時期、赤瓦を取り除いて、茅葺き屋根に変えていた時期があるので、「赤瓦」のお家は「富」と「権力」の象徴だった時代もあったんです。
近代になると、「赤瓦は日光の熱の吸収率が低く、強い日差しの熱を避けるためにいい素材だ」という理由で多くのの家に使われるようになります。素材的な利用価値、見た目の美しさなどで一般的に普及していきます。
最近では赤瓦っぽいデザインのお家なども作られてきています。実際に赤瓦を使わなくても、赤瓦を使ったような見栄えになるよう、漆喰に塗料などで色付けを行なったものもチラホラ見かけます。
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新しく改装する
古くなった屋根は、新しく改装するんですが、昭和の時代に改装された屋根は、骨組みの上にトタン板を敷いて、その上に赤瓦を乗せたお家もあります。
トタンを挟むことによって雨漏りを防ぎ、水にさらに強くする狙いのようです。同じ赤瓦の屋根だと思っても、作られた時代、時代によってその当時の技術を取り入れています。
様々な文化のいいところを取り入れる沖縄ならではの発想ですね。
そういう細かいポイントを見ていくと、街歩きをしていても、「あっ、これは比較的新しいな」「これ、伝統的な技法で作られて古いから、お金持ちなんだろうな」という面が見えてくるので楽しくなってきます。
地図の上に「新しい」「古い」「昭和型」「コンクリート型」なんかを書き込んでいくと<石垣島の街並みがどう発展してきたか>などを知るきっかけにもなってきます。
場所によっても作り方にも違いがある
近代では、コンクリート技術の発達により、コンクリートを使った赤瓦のお家が一般的になりつつあります。木造のお家は耐久性がなかったり、老朽化により建て替えられたりしてきています。
石垣島は台風の通り道でもあるので、コンクリート造りの平屋が主流になりつつあります。
赤瓦の間を埋めている漆喰(しっくい)も台風などの大風で瓦が飛んでいかないように固めたのがもともとの理由です。石垣島の北西部にある白保集落では、漆喰にサンゴのかけらを混ぜ込み、強度を増した漆喰が使われたりもしています。
漆喰にサンゴを混ぜると「粘りがでる」と白保のオジイが話してくれました。
鹿児島などでは、コンクリートにシラス(火山灰)を混ぜて強度を出す実験も行われているので、「昔の人は経験でそういう技術を作っていたんだな」「すごいなぁ」と感じます。
まとめ
街歩きの際に、家家の屋根「赤瓦」に注目してみると、見えなかった街の歴史をはっきりと感じることができるようになります。
古文書や古地図を読みとかなくても、今残っている街並みからでも昔の様子、石垣島が発展してきた様子を感じ取ることができる。
「赤瓦は全部同じ」って思わずに、その小さな違いを見つけて見てください。歩くだけでも楽しい散策になること間違いなしです。
特に、「桃林寺」→「宮良殿内」→「登野城5町内」に向けての地区は「赤瓦」「塀」「樹木」に特徴がある地域です。ブラブラと歩くだけでも石垣島の歴史をヒシヒシと感じることができる場所です。
ぜひ、散策して、歴史を感じてみてください。
散策の際のお願い
散策の際には私有地やお庭などへの立ち入りはやめてください。石垣島の市街地は石垣島に住んでいる人にとっては「生活の場所」です。歩く時は道路のみにして、家やお庭への立ち入りはしないでください!
散策する時もマナーを守って、お互いに迷惑にならないように、気持ちよく観光してください!
それじゃあ、楽しく旅してね!
【おすすめの時期】4月〜5月、9月〜10月
【みどころ】赤瓦、伝統的建築様式
【滞在時間】約1時間
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