沖縄の伝統的な「赤瓦の家」の特徴
こんにちは。石垣島ナビです。
石垣島をはじめとした沖縄で伝統的な家というと「赤瓦の家」ですよね。青い空に赤瓦がクッキリと映え、日本じゃないような美しい景色を作ってくれています。
今回は、「沖縄の伝統的な赤瓦の家の特徴」について紹介します。
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目次
沖縄の伝統的な赤瓦の家
赤瓦の家の特徴は「赤瓦」「白い漆喰」「ヒンプン」「琉球石灰岩の塀」「フクギ」「シーサー」です。それぞれの材料が組み合わさってできている家が「赤瓦の家」。
建てられる方角や、水周りの方角、シーサーの向きなども、沖縄の風水をもとに作られていることが多いです。それぞれに意味があるお家。そんな沖縄の伝統的なお家を詳しく解説しています。
赤瓦の家の特徴
赤瓦を使うことによって、日差しを遮ることができ、さらに室内の温度を適正に保つことができます。
赤瓦には、日光を反射し、熱を吸収しないという特徴があります。室内温度も4度ほど涼しくなるという熱い地域には嬉しい効果を発揮してくれます。
しかも、冬場は熱を逃がしにくくなるので、室内は暖かいまま。夏には涼しく、冬には暖かい。それが赤瓦の家の特徴です。
しかも、耐久性が抜群で、一度作ると50年〜100年はもつと言われています。古い家の赤瓦もしっかりと割れずに残っているので、台風が来ても平気な屋根です。
1880年ごろまでは、赤瓦を使って家を作ってもいい人は、一部の人だけでした。貴族や役人さんぐらいしか使えなかった部材。今では、一般的に使われていますが、古い赤瓦のお家は、お金持ち、身分の高い家の証でもありました。
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赤瓦の横、白い漆喰(しっくい)
赤瓦の横に白い塊があるんですが、これは漆喰(しっくい)です。赤瓦が台風などで、飛ばないように漆喰という接着剤のようなもので固定します。日本のお城の塀に白い塀がありますが、あれが漆喰です。
固まると、かたくなり、赤瓦をしっかりと固定してくれます。水にも強くいので、雨、台風が来ても大丈夫。
実用面だけでなく、赤と白のコントラストが美しいです。赤瓦と白い漆喰の屋根は、沖縄ならではの景観を作り出してくれています。漆喰は古くなってくると、白い色が抜けてきますが、それはそれで、味が出てくる。
石垣島の「白保」という地域では、漆喰に「サンゴのかけら」を練りこむ伝統的な技法も残っています。サンゴのかけらを入れることによって、漆喰にさらに粘りが出て、より強固に固定してくれるようになります。
見た目は同じように見えますが、沖縄の家は、地域によって様々な工夫が施されています。
ヒンプン
門を入って、家の玄関の前にある壁がヒンプンです。
ヒンプンは魔除けのために作られた壁で、石敢當のような役割をしています。魔物(マジムン)を家の中に入れない役割の他にも、南風を直接、家に入れないように、緩衝させる壁としての役割もあります。
関連記事>>>白保のお家には「ヒンプン」がない?
琉球石灰岩の塀
家の周りの塀は琉球石灰岩を使った塀で囲まれているのが一般的です。琉球石灰岩はもともとサンゴだった石なので、ゴツゴツしているものが多いです。
そのまま積んだり、綺麗に四角く切り出したりして使われます。家の塀を見るだけでもその家、地域の歴史を知ることができます。
関連記事>>>琉球石灰岩の塀の種類
フクギ
赤瓦の家の周りには、大きな木が植えられていることが多いです。一般的に「フクギ」という木を植える家が多いです。というのも、フクギは根をしっかりと張る木なので、倒れにくく、風除けをしてくれます。
また、根をしっかり張ることによって、琉球石灰岩の塀が崩れにくくもなる。昔の家の塀は石灰岩を固定せず、積み上げているだけの塀の家が多いので、台風がくると倒れてしまうことが多かったようです。
倒れるのを防ぐためにフクギを植えて、塀を強化する役割もありました。
また、フクギの樹皮は、染物の原料にもなります。家で育てれば、「家を守る」「染物の原料が手に入る」といいことづくめでした。色鮮やかな黄色に染まってくれるのが特徴の植物です。
シーサー
家の屋根の上や、門の上に置かれているシーサー。家の守り神として祀られています。沖縄の家では、ほぼ100%と言っていいほど、シーサーがあるお家が多いです。
もともとは、火事防止の願掛けとして飾られていたものですが、最近は幸運を呼び込むもの、魔除けの意味で置いてあるものと、意味合いが時代とともにだんだんと変わってきています。
お守りの意味が強いシーサーは、2体で1つとして置かれることが多いです。「口を開けたもの」と「口を閉じたもの」の2種類。「阿吽」の仁王像のような意味合いで使われています。
幸運を呼び込んだり、悪い気を家に入れないようにしたり。
古いお家のシーサーは1体だけ屋根の上に乗っかっていることもあります。南を向いていると火事になりにくくなるという意味があるシーサー。家を建てる時に風水師(ユタ)に家相を見てもらってから置くこともあります。
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赤瓦の家の構造がわかったら、実際に見に行ってみましょう!
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伝統的な赤瓦の家が見れるスポット
石垣島では「宮良殿内」
石垣島では、伝統的な建築様式で建てられている赤瓦のお家といえば「宮良殿内(みやらどぅんち)」です。宮良殿内は、石垣島の宮良間切を治めていたお偉いさんのお家なので、かなりしっかりとした作り、伝統的な建築方法で建てられています。
ちゃんとしたものを見たかったら、宮良殿内へ行くことをおすすめします。
宮良殿内は家の中へ上がることはできないので、外から見る、お庭を見るぐらいしかできませんが、昔ながらの赤瓦屋根のお家を現代に残してくれているので、建築好きな人は一見の価値ありです。
建築様式もそうなんですが、琉球石灰岩を使った枯山水風の庭園は、中国文化の影響、日本文化の影響の両方を受けて作られたような作りのお庭です。文化的価値、石垣島の歴史的背景などを直に接することができる場所なので、「観光」じゃなく「歴史巡り」として訪れたいスポットです。
「観光」気分で行っちゃうと、ガッカリスポットなので、注意が必要です。ノリだけで行くのはやめましょう。
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歴史のある集落に多い
赤瓦の屋根のお家は、歴史のある集落に多いのが特徴です。というのも、大昔(琉球王朝時代)は位の高い役人さんしか「赤瓦のお家に住むことを許されていなかった」っていう歴史があるからなんです。
庶民は使うことを許されていなかった赤瓦ですが、時代の変化とともに、一般的に普及するようになってきます。
「赤瓦」「サンゴの塀」「井戸」などがあるお家は、かなりのお金持ちな家だということがわかります。庶民は「茅葺き屋根」「共同の井戸」で生活していたので、違いは歴然です。
お家を見て散歩するだけでも楽しい
そいういうことを事前に知っておくと、石垣島を散歩する時も「街の見え方」が変わって楽しい体験ができます。今回は「赤瓦」にポイントを絞って紹介していきたいと思います。
それじゃあ、楽しく旅してね!
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